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広報しき 平成30年9月号

わたしたちの健康 「在宅医療(小児科)」

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埼玉県志木市

朝霞地区医師会/杉田 正興(すぎた まさおき)

今回は、小児在宅医療についてお話をいたします。
さまざまな理由で、病院や診療所に足を運ぶことが困難な患者様が多くいらっしゃいます。移動が困難な方、医療機器を装着している方などの場合には、定期的に医師や歯科医師、看護師、薬剤師などの医療スタッフが自宅に訪問し、患者様の診療を行ったり、医療相談や指導を行ったりする「在宅医療」が、広く普及しています。
現在、この制度を利用されている方の多くは、ご高齢の方になりますが、最近では、小児についても、この「在宅医療」が注目を浴びてきています。

大きな病院の新生児集中治療室(NICU)や、小児集中治療室(PICU)に長期間入院しているお子さんの中には、退院が困難なお子さんがいます。呼吸や栄養摂取をサポートする機器を装着しているお子さんや、注意深い観察やケアを要するお子さんの場合、退院後も自宅でさまざまな医療の介入(在宅医療)が必要になります。
このような場合、退院後の在宅医療の準備を整えてから退院することになり、十分な準備が整わないと退院が困難になってしまうケースもでてきてしまいます。

お子さんの状態や、医療の内容によって異なりますが、退院後の在宅医療開始のために、具体的に以下に記すような準備が必要になります。
(1)地域の医療機関(病院・診療所)の手配
(2)訪問看護ステーションの手配
(3)保健所・保健センターなどの関連各機関の情報共有
(4)医療機器などの手配
(5)関係各機関、入院主治医、保護者との情報交換や退院前の打ち合わせ
これらの事柄がすべて整ってから、退院することになります。この中のどれか一つが欠けても、在宅医療へのスムーズな移行ができなくなるおそれがあります。
しかし、これらの事柄が充実している地域が、全国的に非常に少なく、大きな問題となっています。

小児医療に精通し、在宅医療を行うために必要な人的資源が確保できる医療機関が必要とされるなかで、小児科専門の医師が少ないうえ、少人数で運営している医療機関が多く、条件を満たす医療機関が少ないのが現状です。小児医療に対応可能な訪問看護ステーションの数も全国的に不足しております。
これらの問題を解決すべく、小児医療関連の学会や研究会が中心となり、さまざまな活動を展開しておりますが、完全な問題解決には至っておりません。

そのような中、朝霞地区(朝霞市・新座市・和光市・志木市)では、医師会・二次救急病院・県保健所・各訪問看護ステーション・各市保健センターが中心となり、朝霞地区小児在宅医療協議会(ASZ)を立ち上げ、様々な角度から検討を重ねてきました。

NICUや、PICUなどから退院する際の主治医からの連絡窓口の創設や、手続きの一元化、関係各機関への連絡・情報共有の方法などのシステム作りを進め、現在、稼働しております。
地域の受け入れ体制が不十分なために、病院からの退院が困難になってしまうケースを少しでも減らし、退院後の混乱やトラブルをなくす努力を今後も継続していく必要があります。
また、この問題の解決に向けて、活動されている多くの保護者の方に、敬意を表します。

小児在宅医療が抱える問題についての認知度は、あまり高くありませんが、できるだけ多くの方が関心を持ち、活発に議論を進めていくことが大切であると考えます。

問合せ:朝霞地区医師会【電話】464-4666

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